「はっ・・・!」
目を開いた。
ガバッと起き上がる。
「夢・・・?」
夢にしては凄くリアルだった・・・。
正夢ってヤツか。
俺と満奈は・・・夢の中でさえ、離れていくのか?
夢の中でさえ、幸せになれないのか?
そう思うと、気分は最悪だった。
時刻は23時。
せっかくシャワーを浴びたのに、汗をかいてTシャツがぐっしょりしている。
もう1回浴びるかな・・・。
耳を澄ました。
花園の気配は感じなかった。
俺は起き上がり、もう1度風呂場に向かった。
―――ザァァーッ
シャワーを浴びながら、さっきの夢の事を思い出した。
“あたし、柳さんと婚約するから”
夢にしては、凄く説得力があった。
あの瞳・・・。
あれは、本気の瞳だ。
例え、夢でも・・・。
あと2・3年もすれば、満奈は柳雅也と婚約するんだろうな。
俺はそれを、ただ指をくわえてみる事しか出来ねぇのか・・・?
んなの、絶対嫌だ。
満奈は俺の女だ。
愛してる女が、自分以外の男のモノになるなんて・・・。
考えただけで嫌だ。
そう、心の中では思えるのに―――。
口で言う事は、言葉で伝える事は、出来なくて・・・。
俺は弱虫だ。
なぁ、満奈・・・。
俺ら、どうすれば良かったんだろうな。
満奈のいない、俺の世界は。
ただただ・・・色あせていた。