―――コンコン
「俺だけど」
「いいわよ」
“社長室”
そう書かれた部屋のドアをノックした。
母さんの声が聞こえて来る。
それを確認して、ドアを開けた。
―――ガチャッ
ドアを開けると、大きなテーブルが目に入った。
その脇にある大きなソファに、母さんは座っていた。
俺はその向かいに座る。
「で、教えてくれよ」
「そんなに慌てちゃって・・・。ホントに満奈ちゃんが好きなのね」
ふふっと笑い、優雅にコーヒーを飲む母さん。
「あぁ、好きだよ。悪いか?」
早く、理由を知りたい。
満奈の今までの事―――。
じっと母さんを見つめた。
コーヒーをテーブルに置く。
そして、
「じゃあ、まずはこれね」
と、1枚の紙を出してきた。
これ、新聞のコピーだ。
何だ?
不思議に思いながらもそれを手に取った。
「・・・はっ!?」
そこには、信じがたい事が書いてあった。
“桜井仁菜さん(15)、後頭部殴られ死亡”
桜井仁菜って、満奈の妹・・・。
そのまま、その記事を読んでいく。
そんな時、ある1文を見て俺は驚いた。
“6月17日、道路で倒れているところを発見されました”
6月・・・17日?
その日は・・・。
満奈が帰って来なかった日だ。