あの日。

“お母さん”
“何?”

あたし、決めたよ。





「隼斗と、別れます」





あたしはお母さんにそう言った。

そして、会社を継ぐよ。

柳さんと、結婚するよ。

“別れよう”

“他に好きな人が出来たんだ”

隼斗と別れるよ。

芸能界も、Rainbowも、アイドルも。

全部捨てるからさ。

だから―――。





別れ際の最後のキスだけは、許してね?





だって、好きなんだもん。

愛してるんだもん。

愛おしくて仕方なくて。

離れたくなかった。

またあの腕で抱き締めてほしかった。

“満奈”って、あの声で呼んでほしかった。

大きな手であたしに触れてほしかった。

当たり前の事はいつも、失ってからその大切さに気付く。

隼斗・・・。

大好きだよ。

愛してるよ。



今まで、ありがとう―――。