「この10日間、何してたんだよ?」

嬉しくてたまらない。

けれど、この事は聞かずにはいられなかった。

「俺、すっげぇ心配したんだからな?」

安心したのか、涙が零れた。

満奈は何も言わない。

言いたくないほど、嫌な事があったのか?

それとも・・・。



俺に言えないような事をやっていた?



何も言わない彼女に、安心がまた不安に変わる。

沈黙が続く。

「なぁ、何とか言えよ・・・」
「ごめんね。電話もメールも返事できなくて・・・」

満奈はそれだけを言った。

俺の質問に答えろよ。

何してたんだよ?

気になって仕方ない。

「10日間、どこで何―――」
「あのねっ、隼斗!」

“何してた?”

そう言いたかったのに。

けれど、その言葉は満奈によって遮られた。

「何?」
「あっ、あのさ・・・」

目が泳いでる満奈。

何を言うんだ・・・?

この時の俺は。

まさか、満奈からあんな事を言われるなんて。

満奈が、それだけ苦しんだかなんて。

考えもしなかった・・・。





「別れよう」





彼女に言われた、2度目の言葉。

俺の目の前は真っ暗になった―――。