会社を継げば。
家族笑って、これからも過ごしていける。
でも、隼斗とは別れなきゃいけない。
アイドルを辞めなきゃいけない。
アイドルを継続すれば。
隼斗とずっと一緒にいられる。
でも、お父さんやお母さんに合わせる顔がなくなってしまう。
どっちも上手くいけばいいのに―――。
きっとあたし、人生で1番悩んでる。
「まだ、自分がどうしたらいいか分からない・・・」
お母さんにそう言った。
「そう・・・」
優しく背中をさすってくれる。
あぁ・・・。
やっぱりこの人は、あたしのお母さんだ。
・・・あたしの正直な気持ち。
それはね、
“アイドルを続けたい”
なんだ。
・・・でも。
いつでもあたしを受け止めてくれた、大きな手。
あたしを悲しみから救ってくれる優しさ。
あたしが憧れてた、その広い背中。
18年間あたしを育ててくれた、お父さんとお母さん。
優しくって。
厳しくって。
日曜日は必ず一緒に遊んでくれた。
大きな心に、あたしは憧れてた。
大好きな両親。
そんな彼らを、見捨てるなんて―――。
あたしには、出来ないよ・・・。
お母さんの肩口に顔を埋める。
大きく深呼吸をした。
そして、
「お母さん」
「何?」
あたし、決めたよ。