満奈がいなくなった。
「流川せんぱぁ~い♡」
それと同時に、ウザい女が俺に寄って来た。
今も、俺の腕に自分のを絡めて胸を押しつけている。
コイツは、華園萌香。
花園麻子さんの娘であり、MARIAの妹らしい。
そしてコイツは・・・俺の事が好き。
「今日、先輩の部屋行ってもいいですかぁ?」
やけに甘ったるい声に、ブチ切れそうだ。
胸押しつけられても・・・迷惑なだけなんだけど。
「ごめんなさい。今日は夕方から仕事があって・・・」
面倒だけど、ここは王子様キャラで対応。
一応ここ、学校だし・・・。
つーか俺には満奈がいるし。
「流川・・・、俺の満奈ちゃんを奪ったくせに・・・」
「萌香ちゃんは俺のもんだ・・・!」
男共の視線が突き刺さる。
ってか、んな事知らねぇし。
満奈は俺のモノであって、てめぇらのモノじゃねーんだよ。
そんな時。
「じゃあ私と付き合ってください♪」
「えっ!?」
華園が、爆弾発言をかました。
「僕、桜井満奈さんとお付き合いしてるので・・・」
「別れてください」
絶対無理。
満奈と別れるなんて、100%無理だから。
「すみません。満奈さんと別れる事は出来ません」
にっこり笑ってそう言うと、
「えぇ~っ!?」
口を尖らせた華園。
周りの男共は目がハートだが・・・。
ちっとも可愛くねぇし。
でも・・・。
まさか、
“別れる事は出来ません”
嘘になるなんて・・・。
思いもしなかった。