仁菜のために、作詞作曲した歌。

仁菜、聞こえてる・・・?



―――パチパチパチ・・・

歌い終えると、後ろから拍手が聞こえた。

振り向くとそこには、

「満奈ちゃん、こんにちは」

仁菜の彼氏である、修平くんがいた。

「修平くん・・・」

彼の目は真っ赤だった。

そうだよね・・・。

彼女が死んじゃったんだもん。

誰だって泣いちゃうよね・・・。

「今の歌、すげぇ良かったです」
「ありがと」

ニコッと笑った。

「仁菜・・・」

修平くんは、遺影の前に立った。

その肩は、プルプルと震えていて・・・。

「大好きだよ」

この2人の間には確かに、“恋”があった。

お互い愛し合ってたのに・・・。

好きだったのに・・・。

“恋人を失う”って、辛いよね。

修平くんの背中を見て、そう思った。

「満奈ちゃん・・・」

振り向き、あたしと視線を合わせた。

「ん?」
「俺・・・、これからも仁菜を愛し続けてもいいですか?」

真剣な瞳。

迷いのない目だった。

「もちろんだよ。仁菜も修平くんの事、今も愛し続けてるはずだよ」
「・・・っ・・・。ありがとう、ございます・・・」

綺麗な涙を流した修平くん。

仁菜・・・。

貴方は、彼にこんなにも愛されていたんだね。

ポツポツと降る雨。

窓から眺めながら、そう思った。