黒い服をたくさん来た人達。
あたしの前を通り過ぎていく。
「この度は本当に残念で・・・」
お父さんたちにそんな挨拶をしていく人もいる。
「まぁ・・・可愛らしい子ねぇ。お母さんにそっくりで」
ハンカチを握りしめる人もいる。
「仁菜ちゃんっ・・・」
制服を着た子も、たくさんいた。
・・・そう。
今日は、仁菜のお葬式―――。
「仁菜ちゃんは明るい子で、私達のクラスの人気者でした・・・」
仁菜と同じ学校の女の子が、涙声で追悼の言葉を述べている。
あたしは黙って、それを聞いていた。
あの日からもう5日も経つ。
仁菜の死から・・・5日が経ったんだ。
あれからあたしは、隼斗に1度も会ってない。
電話がかかって来たけど、いつも無視するだけ。
メールも未開封のまま。
・・・ホントは、凄く隼斗に頼りたいよ。
でも、今はそんな事してる場合なのかなって思うと・・・。
ごめんね、隼斗。
心の中で、彼に謝った。
しばらく寮にも行ってないや・・・。
仕事だけはちゃんと行ってる。
だけど、アイドルって大変だね。
辛い時でも、笑ってなきゃいけないんだから。
例え、妹が死んだとしても―――。
「代表、今宮愛未莉」
愛未莉ちゃんって言うんだ。
追悼の言葉を終えた愛未莉ちゃんは礼をして、自分の席に座った。
涙を零しながら・・・。