(side満奈)

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物心ついた時にはもう、あたしには妹がいた。

3つ年下の、初めての妹。

名前は“仁菜”って言うの。

彼女が生まれたのは、あたしが3歳の時だった。

「ほら、満奈。今日からお姉ちゃんになるんだよ」

お父さんはそう言って、生まれたての赤ちゃんを見せてくれた。

「わぁ・・・!ちっちゃくて可愛い!」

それがまだ幼いあたしの、素直な感想だった。

目は閉じられていて、肌は柔らかく。

ギュッと握られた手にはきっと、夢や希望が掴まれているんだろうな。

あたしは、初めて出来た姉妹に感激していた。



「こらっ!満奈、仁菜っ!」

2人でいっぱいいたずらした。

ケンカもした。

休みの日は一緒に遊んでた。

お父さんとお母さんを、たくさん困らせた。

「お姉ちゃん!それ私のだよ!」
「あたしのだもん!」

些細なことで言い合いしてたね。

「きゃはは!何この顔~」
「そっちだって変な顔してんじゃんか!」

プリもたくさん撮ったね。

変顔しては、爆笑して。

とにかく、仁菜と一緒だと楽しかった。

「あたし、将来はアイドルになるんだ!」
「そうなんだ!私、応援するよ」

将来の夢も、仁菜に話したね。

その度に、仁菜は喜んでくれて。

「ねぇ、お姉ちゃんは好きな人いないの?」
「いないよ~。仁菜は?」
「私もいない~。あっ、そう言えば胡桃がね・・・」

誰かの恋について話しあったり。

主に胡桃ちゃんの事ばっかりだったけどね。

「隼斗くんカッコいい~」
「愛地くんの方がカッコいい~」

SuperStarに夢中になったね。

「いつか一緒にライブ行こうね」

あの日交わした約束は、今も忘れてないよ。

ちゃんと、覚えてるからね。

「修平が好きなんだ」

そのカミングアウトにはびっくりしたよ。

でもね・・・仁菜も恋したんだと思うと、心が暖かくなったよ。

仁菜の笑顔が、あたしの支えでもあった。

また、見せてよ・・・。

仁菜の、輝く笑顔を。

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