(side隼斗)

「じゃあこれ書け~」

担任が、ダルそうに1枚のプリントを配った。

それは・・・進路調査書。

周りの奴らは、大学だの就職だの騒いでいる。

俺はもちろん、アイドル続行だ。

第1志望、と書かれたところの隣に、

“アイドル”

と書いた。

シャーペンを置いて、窓の外を眺めた。

青空が広がっている。

ボーっとしながら、俺はいろんなことを考えていた。

もう3年か・・・。

満奈と出会ってから、2年が経つんだな。

月日が流れるのは驚くぐらいにあっという間だ。

俺は今年で、18歳になる。

と言う事は、結婚出来る年ってわけで・・・。

今すぐにでも満奈を嫁にしたい。

“俺の奥さん”って言いたい。

でもそれは・・・俺がもうちょいしっかりしてから。

自分が自分に納得できるまでは、籍を入れないつもりだ。

それは、何年後の話なんだろうな。

幸せな想像に、つい頬が緩む。

周りにバレないように、小さく呟いた。



「満奈、大好きだよ」



ってな。

俺が1人前になるまで、ちょっと待っててな?

1人前の男になったら、必ず満奈を迎えに行くから。

・・・あぁ~っ!

満奈に触りてぇ。

キスして抱き締めてぇ。

俺の脳内は、100%全部満奈でいっぱいだ。

それくらい大好きなんだよ。

なぁ、満奈。

お前も同じだろ?

青空に向かい、心でそう言った。