その声につられて、あたしも辺りを見渡してみる。
すると、入学生の並ぶ列の中に。
一際目立った女の子がいた。
あの子が・・・MARIAの妹かぁ。
って事は、花園麻子さんの娘さんだね。
確かに、めっちゃ美人さん。
麻子さんにそっくりだもん。
ただただ、ポケーッとその子を眺めてた。
その時。
「アイツ、SuperStarの流川隼斗狙ってるらしいぞ」
「マジで!?桜井満奈と付き合ってるのに?」
―――――えっ!?
信じられないような言葉が聞こえた。
萌香ちゃんが・・・?
隼斗を、狙ってる・・・?
男子達は、すぐ近くにあたしがいる事に気づかない。
そのまま、話を進めていた。
「でも、桜井満奈の方が可愛くね?」
「嘘!?俺は萌香ちゃんの方がタイプ。なんで芸能界入んねーのかな」
「俺も。つーか、桜井満奈ってブスじゃん。アイドルの癖に」
「全然ブスじゃねーよ。むしろ可愛すぎるし。結婚してほしい・・・」
「おいおい、ヒデ。お前なんか相手にしてもらえねーよ」
―――――ズキッ
・・・自分がブスだって事くらい、分かってるよ。
でも、こんな間近で堂々と言われたらさすがに傷つくよ・・・。
泣きたくなってきたぁ・・・。
グッと下唇を噛んで、涙をこらえた。
「ちょっとあんたら。近くに満奈がいるの分かって、そんな事言ってんだろうね?」
不意に、前からそんな声が聞こえた。
この声・・・。
千咲だ。
「えっ?あっ・・・!」
「いやっ、その、あの・・・」
あたしを見て、びっくりする男子達。
でも、ヒデと呼ばれた人だけが顔を真っ赤に染めていた。
「Chisaちゃん・・・、あの・・・」
「堂々と満奈の事傷つけて。芸能人でも女の子なんだからね!?」
初めて聞いた。
千咲の、低くて怒っているような声を。
ってか、千咲さん。
キャラ変わってるんですけど・・・?