「可愛いわね~。スタイルいいし」

決まってんだろ。

何てったって“Rainbowの桜井満奈”だからな。

「今日はホワイトデーかぁ♪・・・そうだ!」

店員は急に何かを思い出し、どこかに消えた。

その間も満奈は、ずっとアクセを見ている。

よく飽きねぇで見ていられんなー。

アクセなんて、俺があげたのがあるのにな。

ちょっと不満。

なんて考えてた時。

「はいこれ!」

また店員が俺の元に来て、手のひらぐらいの大きさの箱を渡された。

「あげる。久々のお客さんだから、嬉しくって」

開けてみて、と俺を急かす店員。

仕方なく渡された箱を開けてみた。

「えっ・・・こんなのもらっていいんですか!?」

俺は驚いた。

中に入ってたのは、2つの時計。

1つがピンクで、1つが青。

キラキラ光る宝石のようなものが、数字の代わりに敷き詰められてて。

「もちろんよっ♪彼女にプレゼントしちゃいなさい」

これ・・・絶対高い。

そんな・・・無料でもらうなんて・・・。

「お金は払います。ですから・・・」
「いいのいいの。お金は、彼女と遊ぶ時のためにとっておきなさい」

そう言われて、涙が出そうになった。

すげぇいい人だな・・・。

「ありがとうございます」

俺は深く頭を下げた。

満奈・・・きっと喜んでくれる。

そう思うと、自然と頬が緩んだ。

「すみませーん!これください!」

その時、店の奥の方で満奈の大声が聞こえた。

どうやらなにか買うらしい。

「はいは~い。じゃあ、頑張りなさいよっ!」

背中を叩かれ、店員の姿も見えなくなった。

俺はもらった時計を箱にしまい、ズボンのポケットに突っ込んだ。