(side隼斗)

その話を聞いて、俺はなんだか恥ずかしかった。

「君は、満奈を愛しているだろう?」
「もちろんです」

春風さんは、にっこり笑った。

「満奈を手放さないようにしっかり手を握っててくれよ」

手放すわけがない。

だって俺は、満奈を溺愛しているんだから。

ベタ惚れなんだから。

“離して”って言われても、絶対に離さねぇから。

「満奈はすっかり隼斗くんに夢中だからな。はっはっは!」

春風さん・・・晩酌のペースが速くなってる。

晩飯もまだだというのに。

まぁ、久々に娘が帰って来て嬉しいんだろうな。

俺も笑った。

「俺も双葉も、“満奈は隼斗くんにしか嫁に出さない”と意見が一致しているからな」
「えっ!?」

それは・・・嬉し過ぎる。

「アイツを幸せに出来るのはもう、君しかいないと思うからね」

そう言う春風さんの顔も幸せそうだった。

その時。

「はぁーい、出来たわよ~」

双葉さんと満奈と仁菜ちゃんが再び登場。

テーブルの上に、色とりどりの料理が並べられていく。

「ちょっとお父さん!飲みすぎじゃない!?」

満奈が呆れたように言う。

「いいじゃないか。せっかく娘と将来の息子が帰って来たんだから」
「はぁっ!?」

春風さんがそう言うと、満奈は顔を真っ赤にした。

「それって、将来隼斗くんは私のお兄さんって事?」

仁菜ちゃんがその後に続く。

何かこの雰囲気・・・俺ん家と似てる。

言い合いしてても、温かい空気を感じる。

「あはははは!お母さんも変わってないね!」

満奈が満面の笑顔で笑っている。

わちゃわちゃしたこの感じ、俺は大好きだ。

桜井家も楽しかったな。