それから、俺は春風さんに満奈との事をいろいろ聞かれた。

「ところで・・・」
「はい。何ですか?」

今度は何だろう、と思っていたら。

春風さんは急にニヤニヤしだして、俺の腕をツンツンつつく。

俺の耳元で、コソッとこう言った。

「満奈の初めてを奪ったのはいつだ?」
「・・・へっ!?」

とても彼女のご両親に言えるような質問ではない。

俺は少し躊躇った。

「言ってもいいんですか・・・?」
「あぁ。もちろん」

酔っぱらってるのか?

分かんねぇけど、すげぇニコニコしてる。

「1年生の6月頃だったと思います」
「へぇ~。結構早いんだな」

はっはっは、と豪快に笑った春風さん。

その勢いで、おちょこに入ってる酒を飲み干した。

「いや~、満奈の初彼が君でよかったよ」

不意に、そう言われて超照れた。

「アイツ、恋すらしてなかったと思うからな・・・」

と、春風さんはどこか寂しげに言った。

「えっ!?それって・・・」
「満奈の初恋も初キスも初めても、多分君が相手だよ」

・・・満奈のファーストキスや、処女だっても知ってたけど。

まさか俺が初恋だなんて・・・。

知らなかったな。

「アイツは・・・ずっとアイドルになるのが夢でな」

春風さんは、満奈の過去を語り始めた。

俺はその話を、黙って聞いていた。