アイドルとしての・・・自覚?
「あんたみたいな生ぬるい気持ちで仕事やられると迷惑なのよ!」
姉貴のヒステリックな声が、ズキズキを心に突き刺さる。
「これからもこんな事続けるのなら、芸能界から出て行って!一生懸命な人に対して失礼よ!」
芸能界から・・・出て行く?
そんなの嫌だ。
俺はアイドルをやりたい。
俺の目を覚ましてくれたのは、姉貴だった―――――。
それから俺は女遊びを止めた。
姉貴の言葉が、終止符を打たせてくれたんだ―――――。
そして高校生になった俺。
そこで、“桜井満奈”と言う女と出会った。
最初は“変な奴”としか思ってなかったけど・・・。
次第に惹かれていった。
笑った顔、怒った顔、拗ねた顔、喜んだ顔。
素直で、明るくて。
そんなところを見る度、いちいち反応する俺の心臓。
欲しくて欲しくてたまらなかった。
あんなにも狂ったのは初めてだった。
満奈の存在が俺を変えた。
それは、今までの俺にとっては考えられない事で・・・。
“俺、満奈が好きだ”
“あたしも、隼斗くんが大好きだよ”
満奈を手に入れた時は、超嬉しかった―――――。
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「これが・・・俺の過去の全て」
2人きりの俺の部屋。
満奈が切なさそうに目を伏せて、俺の話を聞いていた。
「俺は柚香だけでなく、いろんな女とキスして抱いた・・・」
「そっか・・・」
目を合わせた。
しばしの沈黙。
満奈は、何も言おうとしなかった。
「やっぱり、嫌いになるか?」
俺は思い切ってそう聞いた。