それからの俺は、いろんな女を抱いた。

寄って来た女はみんな抱いた。

中学生、高校生、大学生、社会人まで。

その中には彼氏や旦那持ちの奴もいたけど・・・何の躊躇いもなかった。

むしろ快感だった。

自分の知らないところで別の男に簡単に股広げる女を好きでいられるなんて。

馬鹿だな。

心の中でそんな男共を嘲笑った。

中1の時だけで、何人の女を抱いたんだろう?

一瞬の快楽だけを求めて、いろんな女に手を出した。

それは、中2になって、SuperStarとしてデビューしてからも変わらなかった。

デビューして、さらに女が寄ってくるようになった。

そんな女は、みんな抱いた。

でも、一度抱いた女は二度と抱かなかった。

そして俺との関係を口止めしておいた。

・・・それでも、俺は何人の女とホテルに入ったんだろう?

たまには番組やテレビ局のスタッフも抱いたりした。

朝帰りだって何度もした。

それでもスキャンダルにならなかったのは幸運だった。

俺は中3になるまで、ずっとそんな生活をしてきた。

転機が訪れたのは、デビュー1周年の頃。

その日も、いつものように朝帰りした時だった。

家のドアを開けると。

「隼斗っ!あんたどこ行ってたのよ!」

水沢玲愛ならぬ、姉貴の流川美鈴が鬼のような形相をして玄関に立っていた。

「女のところだよ。いつものことじゃねぇか」

ウザいな。

そんな姉貴を無視して、自分の部屋に行こうとした。

その時だった。

―――――パシンッ!

廊下中に乾いた音が響いたと思ったら、自分の頬に痛みを感じた。

「何すんだよっ!」
「この馬鹿弟!よく聞け!」

俺の腕をつかんだ姉貴。

振り解こうとしても、なかなか振り解けない。

・・・あの時の姉貴の切なさそうな表情。

この言葉は、今でも覚えてる。



「アイドルとしての自覚を持ってよ!」