夕方。

「お邪魔します・・・」
「満奈ちゃん、いらっしゃい」
「千歳さん!ご無沙汰してます」

満奈を連れて実家に帰った。

「すみません、あたしの事で皆さんを巻き込んでしまって・・・」
「いいのよ」

母さんに謝る満奈。

そんな満奈に、母さんは優しく微笑んだ。

「満奈ちゃんは、私の将来の娘だからね」
「えっ・・・」
「はぁっ!?」

何を言い出すのかと思ったら・・・。

いきなりそんな事を言われて、満奈は頬を赤く染めている。

俺は思わず、変な声をあげた。

「あら、違ったのかしら?ほっほっほ」

母さんだけが、愉快そうに笑っていた。

「あっ、満奈!」
「満奈ちゃん!」

その時、2階から兄貴と姉貴が降りて来た。

「美鈴、翔也さん!」
「満奈ぁーっ!」

と思いきや、いきなり満奈に抱きつく姉貴・・・。

「姉貴、離せ。俺の満奈だぞ」
「あーっ、ヤダヤダ。嫉妬深い男は嫌われるぞー」

姉貴の言葉は無視無視。

満奈と姉貴を剥がした。

「何すんのよーっ!この馬鹿弟め!」

ガルルルルル・・・、と姉貴は猛獣のような顔つきになった。

怖い怖い。

それが歌手・女優の顔かっつーの。

「上がって上がって。満奈ちゃんは隼斗の部屋ね」
「はぁーい」
「満奈ちゃん、よかったら俺と寝る?」
「ふざけんな馬鹿兄貴」
「お前と違って頭はいいけどな」

へんっ!

そんな事は知らねぇ。

とにかく・・・。

今日は満奈を守るんだ。

絶対に・・・。