「あっ、母さん?俺だけど・・・」

まず、母さんに電話した。

「ちょっと事情があって、俺と満奈明日そっちに行く」

とりあえず明日は、俺ん家で一晩過ごす。

母さんは快くOKしてくれた。

俺ん家なら、セキュリティーもばっちりだし。

まぁ、安心だろう。

次は満奈の母親、双葉さんに電話。

『・・・えっ!?』

案の定、双葉さんはびっくりしていた。

そりゃそうだろうな。

自分の娘が殺されそうになってるんだからな。

「すみません、俺のせいなんです・・・」
『隼斗くん』
「はい」
『満奈の事、任せたわ』
「・・・!」
『よろしくね』
「はいっ!」

それでも双葉さんは俺に満奈を預けた。

『だって、愛し合ってる2人だもの。絆は、そう簡単に切れないでしょ?』

この言葉が、すげぇ嬉しかった。

俺って・・・信頼されてる?

って、そんな場合じゃない!

急いで荷造りをした。

もちろん、満奈の分も。

・・・下着なんて、もう見慣れてますからね。

全種類分かりますよ。

・・・だーかーらーっ!

そんな場合じゃないっつーの!

その時、またケータイが鳴った。

恐る恐るディスプレイを覗く。

“桜井満奈”

その名前に、ホッとしたのと同時に焦った。

「はい」
『隼斗っ!あのメール・・・』

満奈は今にも泣きそうな声だった。

「明日は俺ん家に泊る。お前の母さんにも、事情は話しといた」
『ありがと・・・』

弱々しい満奈の声を聞いて、俺は思った。

柚香、マジでムカつく。

・・・でも、1番ムカつくのは俺自身だった。