「満奈、これ届いてたわ」
撮影の休憩中。
麻衣ちゃんが、あたしの控室に大きな段ボールを持ってきた。
「ファンレター?」
「ええ。私はこれから事務所に行ってくるから」
「はぁーい」
―――――バタン
麻衣ちゃんが控室から出て行った。
ファンレターか・・・。
でも・・・あたしにだけ?
何だろう?
気になって、段ボールのガムテープを剥がした。
1枚の綺麗な封筒を取り出す。
その時だった。
「痛っ・・・!・・・何これ!?」
指先に痛みを感じた。
その部分を凝視してみると、そこは赤く滲んでた。
まさか・・・!
封を切り、中身を取り出した。
やっぱり・・・。
封筒の中には、便箋と・・・剃刀の刃が入っていた。
あたし・・・油断してた。
“あんたなんか隼斗くんと釣り合わない”
“早く別れて”
こうなる事は分かってたはずなのに―――――。
便箋には、見てるだけでも辛くなる文がたくさん書いてあった。
そう、あの時と同じような―――――。
赤く滲んだ部分を冷水で冷やしながら、あたしは考えた。
多分・・・この段ボールの中に入ってるファンレターは。
全部、同じ内容なんだろうな・・・。
そう察したあたしは、段ボールをもう1度ガムテープで閉じた。
“2人は凄くお似合いだと思います”
“美織と舜だから許せます”
嬉しいメッセージと。
“10月3日の夜、お前を殺しに行く”
―――――柚香ちゃんからのメッセージに気付かずに。