「でも、大事なのは過去じゃなくて今と未来。あたしは隼斗の過去に何があっても、隼斗を愛し続けるから」

・・・泣きそうになった。

満奈が、俺の事をこんなに想ってくれてるとは・・・。

『っ・・・。私だって隼斗が好きなのよ!』
「そんなの、あたしだって同じよ」

泣き叫ぶ柚香に対して、冷静な満奈。

「あたしだって隼斗が大好きなんだから。何があっても絶対に譲ったり離したりなんかしない」

・・・俺だってそうだよ。

大好きだ。

愛してる。

誰にも譲らねぇ。

離したりしねぇ。



『・・・殺す』



不意に、柚香のそんな言葉が聞こえた。

殺す?

誰を?

どうして?

『絶対に・・・桜井満奈を殺してやる・・・』
「意味分かんない。失恋したからって人殺しするんだ」
『私は失恋なんかしてないっっ!!』

柚香が絶叫した。

それでも満奈は平然としてる。

それどころか・・・満奈は笑っていた。

「じゃあどうして?」
『私と隼斗は愛しあっていたのよ・・・。2人の間を邪魔したあんたがウザい。だから、邪魔者には消えてもらうの』

最後の方では、ふふふっと妖しげに笑った。

・・・柚香って、こんな奴だったっけ?

精神的に、危ねぇ様な気がする。

『そしたら、私と隼斗は永遠に結ばれるのよ』

満奈はその台詞を、黙って聞いていた。

まるで、我関せずとでも言うように・・・。

「ホントに分かってるの?」
『何がぁ?』
「邪魔者は椎名柚香だって事」

冷たい氷の様な瞳。

こんな満奈は・・・初めて見た。