何だよもうっ!

せっかくのいいところを邪魔しやがって!

そう思いながら、ケータイのディスプレイに目をやった。

“赤坂太陽”

太陽か・・・。

俺は仕方なく、通話ボタンを押した。

「もしもし?」

なーんて低めの声で言って不機嫌アピールしてみたり。

でも・・・。

『なぁなぁなぁ!お前満奈ちゃんと付き合ってるって本当か!?』

コイツには全く効かない。

それどころか、いつもよりも倍デカい声で一気に喋った。

「お前なぁ・・・耳元でぎゃんぎゃん騒ぐなよっ!」
『しゅみましぇん・・・』

俺が怒鳴ると、今度は聞き取れないくらいの小さな声を出した奴。

お前に“中間”と言うものはないのか?

・・・ねぇな。

何をやるにもいつも、太陽は人並み以上か人並み以下だもんな。

「あぁ。付き合ってるよ」
『いつからいつから!?』

まぁた馬鹿デカい声に戻ってるし・・・。

「月9で共演した時から」
『へぇ~。メンバーは知ってるの?』
「准は知ってた」
『いいなぁ~。俺も何気に満奈ちゃん狙ってたんだよ』
「知ってる」

俺がそう言うと、太陽はハハッと笑った。

「満奈は俺のモノだから。お前にはやんねぇよ」
『参った!』

俺には、満奈がいないとマジで無理だから・・・。

電話片手に、きょとんとしてる満奈を抱き締めた。

「とゆーわけで今から満奈とラブラブするから」
「ちょっ、隼斗!?」
『えっ!?満奈ちゃんいるの?』

ちっ・・・。

満奈め・・・。

声あげてんじゃねーよっ!

同じ場所にいるってばれちゃったじゃねーかよ・・・。

「いるけど、満奈はホントに俺のモノだから。じゃあな」

俺はそれだけを言って、ブチッと切った。

そしてすぐさま、満奈にキスを落とす。

あぁー・・・。

幸せだな。