「あたしは、流川隼斗が好きなの」
ゆっくりと確かめるように言った。
「・・・アイツのファンだから?」
「違うよ。もちろん、SuperStarとしての隼斗も好きだけど、あたしは“ただの”隼斗に惚れたんだ」
玲央は涙を流した。
そんな彼の手を握る。
「ずっと一緒にいたいのも、愛されたいのも、愛したいのも。・・・あたしには隼斗だけなんだ」
「・・・そうか」
「確かにあたし達は出会ってまだ1年だけど・・・」
この言葉・・・言ってもいいよね。
「互いを信じてるから」
あたしも泣いた。
「玲央は・・・大事な幼なじみだよ。かけがえのない・・・」
貴方は、“かけがえのない幼なじみ”なの。
だからさ。
「もう、それ以上にもそれ以下の関係には進めないの」
玲央を傷つけてしまうのは分かってる。
「ごめんね・・・」
でも、馬鹿なあたしには、これ以外にかける言葉が見つからなかった。
その時。
―――――ギュッ
急に、視界が暗くなる。
あたし・・・玲央に抱き締められてるんだ。
拒否はしなかった。
「俺はさ・・・ずーっと満奈が好きだった・・・」
「うん・・・」
「断られても諦められなくて・・・結局満奈を傷つけちまったな・・・」
「ちがっ・・・」
傷つけたのは、あたしの方だよ。
「ごめん・・・。想いに答えられなくて」
「満奈が謝る事じゃない。誰も悪くない・・・」
恋って、難しいね。
誰かの恋が叶えば、誰かの恋は消えてなくなる。
あたしは前者で、玲央は後者。
何度もあたしに“好き”って言ってくれたのに、彼を置いてあたしだけ幸せになるなんて・・・。
出来るわけないよ・・・。
「満奈、顔上げて」
見上げた先には、玲央の清々しい顔があった。