(side満奈)

「おかえり~。俺、1人で寂しかったぁ」
「玲央・・・。大事な話があるの」

部屋に入るなり、玲央にそう告げた。

「・・・俺もある」

すると、玲央はまたあの天然KYの気配を消した。

鋭い目でそう言われて、ドキッとする。

無言のまま、リビングにある椅子に座ったあたし達。

「満奈はさ、アイツのどこが好きなんだ?」

そして、話を切り出す玲央。

玲央も真剣なんだ。

「・・・分かんないよ、そんなの。気がついたら好きになってたから・・・」

隼斗の事が好き。

その思いに気がついたのは確か・・・隼斗と水沢玲愛の熱愛報道の時。

好きになったきっかけなんて、覚えてないよ・・・。

「ふーん・・・。俺じゃダメなの?」

そしたら今度は寂しげな瞳を見せる。

キュンとしちゃう・・・。

けれど、あたしの気持ちは変わらないよ。

「うん・・・。隼斗じゃなきゃダメなの」

隼斗がいたから、辛い仕事だって、あのSweetLoveからの嫌がらせだって乗り越えられたんだと思う。

「根拠は何もないけど、あたしは隼斗がいいの」

そう言って、真っ直ぐに玲央を見つめた。

その途端。

―――――バンッ!

「何でだよっ!何で・・・何で俺よりも流川を選ぶんだよ!」

机を叩いて、大きな声を上げる玲央。

また、初めて見たよ・・・。

新しい玲央を。

「俺の方が満奈をよく知ってる!俺の方が満奈と一緒にいた時間は長い!・・・なのに、俺は流川に負けたのか!?」
「違うよ、玲央」

確かに、あたしの事をたくさん知ってるのも。

長く一緒にいた時間も。

玲央の方が断然上だよ。

・・・でもね。

「恋愛ってさ、そんなの関係ないんだよ」

知らなかったら、これから知ればいい。

一緒にいた時間が短かったら、ずっと一緒にいればいい。

そんな単純な事なんだよ。