「お邪魔しましたぁ~」

千咲の部屋から出ると、既に辺りはオレンジ色。

あの後、菜々子の話をいっぱい聞いた。

越野さんは、2人が出ている雑誌のカメラアシスタント。

年は23歳で、かなりのイケメンなんだって。

越野さんが告白したのがきっかけで2人は付き合い始めて。

つい最近、エッチをしたそう。

人のそういう話って・・・なんか恥ずかしい。

エレベーターに乗って、⑥のボタンを押した。

そこで、大きなため息をついた。

今日・・・ちゃんと話し合おう。

玲央と、隼斗と。

いつまでもこんなにモヤモヤしてちゃダメだ。

仕事に支障が出ちゃう。

まず玲央と話して、その後は隼斗と・・・。

隼斗は・・・戻って来てくれるのかな?

自分以外の男子に彼女を抱き締められてたら、誰だって嫌だよね。

あたしも、想像しただけで嫌になるもん。

それだけじゃなく、大きな不安がもう1つ。

玲央との事・・・。

あたしは隼斗とずっと一緒にいたいから、玲央にははっきり気持ちを伝えなきゃいけない。

だけど、その後に玲央との関係が壊れていくんじゃないかと思うと・・・。

不安でたまらない。

どちらも手に入れる事は難しいんだね・・・。

6階についた。

長い廊下を歩いて、部屋の前に辿り着く。

1度、大きく深呼吸した。

そして―――――。

―――――ガチャ

部屋の入り口となるドアを、思い切って開けた。

あたし・・・決めたよ。

たとえどんなに辛い結末が待っていようとも。

絶対に受け止めて見せるから。

よい方向でも、悪い方向でも―――――。