「ちょっとね・・・真夜中の密会、かな?」
「満奈・・・。気をつけろって言ったよな?なのに何で抱き締められてんだよっ!」

玲央の言葉を無視して、隼斗はあたしの肩を揺さぶった。

・・・今までで、1番怖い顔。

玲央にイライラしてた時よりも何倍も怖かった。

「痛いよ・・・。隼斗っ、離して!」
「俺の忠告を破ってコイツに会うほど、お前は相葉が好きなのか!?」

違うよ・・・。

違うっ!

誤解だよ。

って、言いたいのに・・・。

「そうだよ~♪満奈ったら、俺の事襲いに来ちゃったし~」
「はぁっ!?」
「違うっ・・・。あたしそんな事してない!・・・信じてよ・・・」

玲央が嘘をついた。

・・・彼からしてみれば、多分これは絶好のチャンス。

ヤダよ・・・。

もうケンカなんてしたくない。

心が離れ離れになんてなりたくないのに・・・。

「・・・そうか。やっぱ長年の仲は違うんだな・・・」
「隼斗っ!?」

どうしてあたしを信じてくれないの!?

最低だよ・・・隼斗。

あたしじゃなくて、玲央の言葉を信じるの?

「どうせ俺はお邪魔虫だったんだな。悪かったな、相葉」
「いえいえ~」

くるっと逆の方向を向く隼斗。

行かないでっ・・・。

あたしの話を聞いてよ。

あたしを信じてよ。

なのに・・・なのに。

どうしてあたしに背中を向けるの?

嫌だよ・・・。

もう離れないって言ったじゃん。

約束破んないでよ。

そんなあたしの心の声は届かなくて。




「―――――満奈。しばらく距離を置こう」



愛おしくて仕方ない隼斗から告げられたのは、今までで1番最悪で、悲しい言葉だった。