「俺はさ、小さい頃から満奈が好きだったんだよ」
淡々と話す玲央。
その話に、耳を傾けた。
「満奈はそんな事ちーっとも知らないし、気づかないし。俺結構アピールしてたんだよ?」
そっ、そうなんだ。
あたしって鈍感なのかな?
・・・言われてみれば、猛烈にアタックされてたような気がする。
まぁ、小学生だから分かんないよね~。
「幼なじみの関係のまま、俺らは中学生になった。そしたら満奈は急にモテはじめて・・・。このまま誰かに取られたらどうしようかと思ってた」
「・・・あたしモテてないけど」
きっぱり言うと、ため息をつかれた。
「自覚なーし」
・・・。
モテない自覚ならありますけどね~。
「中2の時に思い切って告白しても、満奈は首を縦に振らなかった。それで、言ったよな。“今は夢を叶える為だけに走り続けたい”って・・・」
うーん・・・。
そんな事言ったけ?
夢・・・か。
あの頃のあたしの夢は、アイドルになる事。
それももう、叶ったんだ。
「高校は別々の道を選んだ。それでも、満奈とはお隣さん同士でいられると思ったら・・・。満奈は寮制の学校に進学して、Rainbowとしてデビューしてた」
まだ涙声の玲央。
つられそうになってくる・・・。
「その時に俺は思ったんだ。もう満奈は俺の隣に来ないんじゃないか、俺の事なんか忘れてしまうんじゃないか、ってな」
「そんなっ・・・。玲央はいつまでもあたしの大切な幼なじみだよ?」
「・・・やっぱ“幼なじみ”止まりか」
言ってからハッとした。
あたし、玲央を傷つけた・・・?
「ごめんっ・・・。そんなつもりで言ったんじゃ・・・」
「続き話すね?」
あたしの言葉を聞きたくないかのように、玲央はまた話し始めた。
大きく息を吸う。
「俺はいてもたってもいられなくなってさぁ・・・。なんとか親を説得して如月高校に転入してきたんだ。それで、やっと満奈に会えたと思ったら・・・」
玲央はそこで話を止めた。
「・・・玲央?・・・っ!?」
彼の視線の先を追ってみた。
すると、そこにいたのは・・・。
「お前ら・・・何してんだよ」
紛れもなく、あたしの最愛の彼・・・。
隼斗が、そこにいた。