「・・・ってな訳で、連れて来ちゃった・・・」

目の前にいる隼斗は怒っている。

それに対し玲央はニコニコ。

ずっと笑顔を絶やさないでいる。

「満奈、ちょっと来い」

あぁ・・・隼斗がキレてるよ・・・。



放課後。

今日は仕事もないし、部屋に帰ってゆっくりしようと思ってた。

1人で外を歩いていた、その時。

「満奈~!」

誰かがあたしを呼びとめた。

振り向くと、そこには。

「玲央っ!」

幼なじみの姿があった。

「久しぶりだね」
「うーん、俺は満奈の事テレビで見てるからそんな感じしないなぁ」

玲央は、ふわふわした男の子。

ちょっと天然で空気が読めないところも愛嬌です。

「あたしとしては、1年ぶりくらいかな?」
「そっかー。満奈が寮生活じゃなかったら毎日会えたのにー」
「・・・玲央はどうして如月高校に来たの?」

確か玲央は、かなりレベルの高い高校に受かったはず。

なのにどうしてだろう?

「うんー?満奈に会いたかったから」
「そっか。・・・って、はぁっ!?」
「あはは。満奈、アイドルらしくないよ~」

アイドルらしくなくても今は別にいいです・・・。

だって・・・だって!

「何その理由!?3年我慢すればまた会えたじゃん!」
「我慢できなかったんだよ~。それに調べたところ、この寮2人1部屋らしいね。だから俺、満奈と一緒に暮らしたいなぁって」
「玲央・・・。まさかと思うけど、まだ・・・」

玲央と一緒に暮らすなんて無理っ!

だって・・・隼斗と離れ離れになっちゃうもん・・・。

でも、この後に聞く言葉にあたしは倒れそうになった。



「俺、満奈が好きだもん。だから一緒にいたい」



中2の時も・・・同じ言葉を聞いた。

あれは、帰り道での事だったな・・・。

「無理だよ・・・。あたし、ルームメイトいるから・・・」
「じゃあ3人で暮らそうよ!いいよね?」

どんだけポジティブなのよこの人!