18時。

家族5人プラス満奈でテーブルを囲んだ。

目の前にはズラリと並ぶたくさんの料理。

「美味しそう~♪」

姉貴がそう呟いた。

「満奈ちゃん、料理上手なのよ~。私の嫁にしたいわ」
「なっ!?千歳・・・」
「そうなんだ。満奈ちゃん、俺の嫁になってよ」
「えっ、翔也さんのですか?」

とりあえず、母さんの言葉は無視しよう。

親父は問題外。

問題は・・・兄貴だ。

軽々しく言うんじゃねーよ。

満奈も何で赤くなってんだよ。

ムカつく・・・。

「うん。ダメかな?」

“ダメかな?”って兄貴は本気なのかよ?

「満奈ちゃんがOKしたらあんた、華恋ちゃんはどうすんのさ?」

母さんが言った。

そうだそうだ!

許婚がいるんだし、大人しくしてろ。

「あのー、華恋さんと言うのはどちら様で・・・」
「あのねぇ、翔也の許婚なのよ~」
「えっ、そうなんですか?」
「そうなの。白雪グループの御令嬢である華恋ちゃんと翔也が幼なじみでね。2人して“大きくなったら結婚しようね”って言い合ってたみたいなの」

知らなかった・・・。

そんな約束を華恋さんとしてたとは。

姉貴もびっくり顔をしてる。

「なんか・・・あたしの周り、御曹司と御令嬢ばっかだなぁ・・・」
「お前もだろ」
「あっ、そうだった」

俺が突っ込むと、満奈は手をパンと叩いた。

忘れてたのかよ。

「じゃあ兄貴と華恋さんは惹かれあってるんだろ?だったら俺の満奈に結婚の約束をさせんじゃねぇ」
「はっ、隼斗・・・」
「いや、満奈ちゃんを確かめてただけだよ~。あはは」
「はぁ!?」

確かめてた?

何のために?

「ほら、隼斗はさ。テレビの前と普段とキャラが違うから、そこを満奈ちゃんがちゃんと受け止めてくれてるのかなーって」
「兄貴・・・」

普段勉強しかしない兄貴が、俺の事を考えてくれえたなんて・・・。

なんか、ジーンとした。