(side隼斗)

やっと姉貴から解放された満奈。

抱きしめたら、満奈のいい匂いが鼻をくすぐった。

「もう帰りたい・・・」

よっぽど聞かれたのが恥ずかしいらしい。

ずっと手で顔を隠してる。

・・・可愛い。

「満奈」
「何よ!?」

おっ!?

若干キレてます・・・。

「何でベラベラ言っちゃうの?隼斗の御家族に嫌われたらこの指輪捨てるからね!?」
「はぁっ!?」

なぜそうなる?

ってか、うちの家族はお前の事超気に入ってるんだけど。

父さんは“どこで知り合ったんだ?”って。

母さんは“やっぱ可愛いわ~”って。

姉貴は・・・言わなくてもいいか。

兄貴に至っては“隼斗にはもったいない。俺の嫁にする”なんて言いやがった。

満奈は俺の嫁(になる予定)だっつーの!

しかも兄貴には許婚がいるし!

あんのエロ兄貴めっ!

「もう・・・。とにかくっ!もう変な事言わないでよね」
「変な事って何ですか?」
「へっ?・・・はっ、隼斗?」

とりあえず、満奈の機嫌直しから始めるか。

そう思って王子様流川くんで対応してみる。

すると満奈は、予想通りの反応。

いつもの満奈に戻ったな。

「変な事って僕、分からないです。教えてくれますか?」
「隼斗・・・。嫌だぁ・・・、俺様に戻って?」
「・・・っ・・・」

―――――ドキッ

遊んでやってたはずなのに、俺が完全に遊ばれてる・・・。

やめろよな・・・。

その潤んだ目で上目使いするの。

「はいはい。仕方ねぇなぁ・・・」

―――――チュッ

小さくキスをした。

「これで機嫌直せよ?」
「もう直ったも~ん♪隼斗だ~い好き!」
「馬鹿。俺の方が好きだし」
「あたしの方が好きだもん」