杏ちゃんは無事だった。
でも―――――。
―――――ポタッ
真っ赤な血が滴り落ちた。
「SweetLoveのためにやった行動が結果、刑務所に行くなんて・・・SweetLoveはどれだけ悲しむ事でしょうね?」
ふふっと笑う。
その手にはカッターナイフが刺さってて、真っ赤に染まってる。
見たくない・・・。
でも、見なきゃいけない。
「絆ちゃん・・・?」
杏ちゃんを助けた人物。
その名は、橋本絆。
「大丈夫?」
「私は大丈夫。でも絆ちゃんが・・・!」
「満奈。この子を守って」
「キッズ・・・。分かった」
杏ちゃんを引き寄せた。
「ごめんね。ちょっとべたべたになっちゃうけど・・・」
あたしは杏ちゃんを抱きしめた。
彼女は泣いていた。
怖かったよね・・・。
ごめんね。
助けられなくて・・・。
「Rainbowを消して、何になるの?」
キッズの声が会場に響き渡った。
「SweetLoveが好きなら好きなだけ応援すればいい。№1じゃない、それが何?Rainbowは№1になりたくてアイドルやってる訳じゃないのよ!?」
必死の訴え。
でも、集団の奴らには届かなかった。
「SweetLoveが№2なんて有り得ないんだよ!お前らが消えればいいんだ!」
「ブスはテレビから消えろー!」
絶えない暴言。
イライラが止まらない。
だけどあたし、何もしてない。
そんな無力な自分が情けなくて、悔しくて・・・。
ただただ、杏ちゃんをギュッと強く抱きしめていた。