“私も・・・、好き。舜くんが好き・・・”
そろそろその台詞が来るはず。
なのに・・・。
しばらく待っても来なくて・・・。
満奈の顔を見てみた。
・・・!!
泣いて、る・・・?
スタッフが一瞬、ざわめいた。
『私も・・・、好き』
それでも満奈は、大粒の涙を流して演技を続ける。
ここは笑って言う台詞だぞ?
満奈・・・。
お前のその涙には何の意味があるんだ?
「・・・カット!」
監督の声がかかると、スタッフは話し合いを始めた。
「・・・満奈。どうしたの?」
満奈の元にマネージャーが駆け寄った。
「ううん。何でもないの・・・」
そうは言ってるけど、泣きやまない満奈。
「・・・桜井さん、少し休憩をとりますので控室で休んでください。流川さんも・・・」
「ありがとうございます・・・」
「はい」
満奈はマネージャーに支えられて控室に向かう。
俺・・・、このままでいいのか?
仮に満奈のあの涙が工藤を想っての涙だとしても・・・。
今、伝えなきゃいけないような気がする。
「すみません」
気づけば俺は、満奈のマネージャーに話しかけていた。