「満奈!」

愛おしい人の名を呼んだ。

でもアイツは振り向かなくて・・・。

胸がズキッと痛む。

代わりに、工藤嵐が振り向いた。

「何?“俺の満奈”になんか用?」

そう言い、満奈の肩に手を置いた。

俺の満奈?

何言ってんだよ。

満奈は俺のモノだけど。

でも、そうは言えなくて・・・。

下唇を噛んだ。

悔しい・・・。

その時、満奈が振り向いた。

「ごめんなさい、“流川さん”。行こっ?“嵐くん”」

その言葉に、俺の頭が真っ白になった。

“隼斗”じゃなくて“流川さん”。

“工藤さん”じゃなくて“嵐くん”。

まるで、アイツが満奈の彼氏のような呼び方。

そして、俺は他人のよう・・・。

一気に満奈との距離が遠くなったような気がした。

「そうだね、満奈。じゃあね、流川くん♪」

俺に背を向け仲良く歩いていく2人。

嘘だろ・・・?

嘘だと信じたい。

でも・・・。

“流川さん”

その呼び方と。

満奈の首元に。

・・・俺があげたネックレスがなかった。