コンコン

涙を拭いて、着替えを済ませ終わった時。

「満奈ちゃん、入っていい?」

ドアの向こうから声がした。

「どうぞ」

この声は・・・。

「満奈ちゃん、出番だよ!・・・ってどうしたの!?目赤いよ?」

工藤嵐さん。

「工藤さん・・・」
「メイクさん呼んで来よっか・・・?」

優しいな・・・。

この人だったら、好きになっても・・・。

「・・・!!ま、なちゃん・・・?」

気づけばあたしは、工藤さんに抱きついてた。

焦ってる工藤さん。

そりゃそうだよね・・・。

いきなり彼女でもない人に抱きつかれたら、誰だって驚くよね・・・。

「ごめんなさい!いきなり・・・。・・・きゃっ!」

パッと離れたけど、何故か工藤さんの腕に引き寄せられた。

「辛い事あったんでしょ・・・?泣いていいよ」

そして、ゆっくりと髪を梳くように撫でられた。

一瞬、隼斗を思い出す。

隼斗とは違う優しさ・・・。

きっとあたし、好きになる人を間違えた。