そっか…そうだよな。


そんな単純なことにも頭が回らなかった自分に、腹が立った。

前田の気持ちも知らずに、一人で舞い上がってた自分に。




「サッカーやってる時以外のお前は、けっこう馬鹿なのに…

そんなお前より頭回らなかった俺は相当、前田馬鹿なんだな。」


俺は本当にショックだった。

ずっと好きだった女の辛さや、弱さを感じとってやることができなかったんだ。




「おう!!幸成はだいぶ、前田馬鹿だよ。

しかしさ〜卒業式ん時に諦めたとか言ってて、二年間話題にも出さなかったのにな。
昨日の今日でこれかよ!!」

和則は笑い出した。



「あの『無口でクールでかっこいい幸成君』がなあ〜。
そんなお前を幸成ファンクラブの子達に見せてやりてぇよ。」


人が真剣に話してると、これだよ。

ま、これがこいつのいいとこなんだけど。

俺は和則のおかげで、なんだか前向きな気分になれた。

胡座をかいていた足を入れ替える。