「お前、ばかじゃねーの?
まじ見損なったわ。
なにしに前田に会いに行ったんだよ。」


てっきり喜んでくれると思っていた和則からの、訳の分からない言葉に俺は聞いた。

「なにがだよ。
本当にすっげー幸せそうだった、2人とも。
痣だってなかったし…

高橋が大きく言いすぎただけなんじゃねーの?」


和則は、大きなため息をついた。

「俺は、呆れて物も言えねーよ。

幸成…。今は12月だろ?
よく考えてみろよ。前田は長袖着てただろ?
公園に遊びに行くのに、スカートなんてはいていかねーだろ?
なのになんで痣がないって言い切れるんだよ。」


「でも顔にも首にも、手にもなかった。」

「大体、高橋だって誰にも言うなって脅されてんだよ、前田の旦那に。
そんなバレないように根回しをする男が、人から見えるところを殴ると思うか?
まぁ幸成が、前田の腹や背中を見たって言うんなら話は別だけどな。」