別れていた将軍たちは久々の再会を喜び合う暇もなく、すぐさま本部の会議室に集められた。
 大きくとられた窓からは中庭が見え、剣を交えている兵の笑う姿が見える。その光景はのんびりとした、平和そのものの光景だ。それに、宝王子はほうっと息を吐いた。
 帝が入ってくる。その数歩後方には、いつものように聖徳が控え、ついてきている。
「話とは他でもない。これからの我らの在り方についてだ」
 このままでいられるとは思えない。戦況は次々と変動し、戦地は拡大していっている。いくら日本が憲法を盾に拒否していても、いつかは決壊するだろう。
 帝は冷たい光を宿した双眸を真っすぐに向け、静かに将軍たちを見る。
「私は、第三勢力を起こしたいと考えている」
 その言葉は決意に満ち満ちており、揺るぎなかった。互いに顔を窺いあう中だったが、ガタンという大きな音がそれを遮った。
「いいんじゃねぇか?俺は賛成だ!!」
 新川だ。戦バカでもある彼は、そうしたほうがもっと多くの、もっと強い相手と戦えるようになるとすぐさま悟ったのだ。もっともそれは、野生のスキルであり、彼の計算ではないのだが。
「私は、帝の随意に従うまでで」
 新川に続いたのは、聖徳だった。聖徳は細い眼を一同に注ぐ。知的かつクールな男。この男にかかればだいたいの公務が帝ノータッチで終わるという。その聖徳が言うからには、何か理由があるはだと皆が思った。
「…どうするんで?」
「日本は列島だ、必ず敵は海を渡らねばならん。つまり、全方位に網を敷いておけば国土は安泰というわけだ」
「なるほど……」
 その説明に、林が納得の声を洩らす。訪ねた宝王子も、思わず感嘆してしまった。大山は端から反対の意はなかったのか、無反応だ。
 帝が笑みを浮かべる。敗戦など予想すらしていない、大胆不敵な笑みだ。それに、聖徳が冷酷で獰猛な笑顔を見せる。
 次々と会議室は、賛同の声で埋め尽くされることとなる。