日本軍総統司令部本館の大広間。
大理石で床を埋め、赤い絨毯がその上に敷かれている。
 上座には帝の玉座があり、その横には文官が並ぶためのスペースが設けられていた。
武官は玉座の前で報告するようになっている。
 今回の集まりは、いつもの定例軍事会議ではなく、歴とした本格的な会議となっていた。
そのため、その場にいる幹部たちはみな正装として、白を基調とした軍服を身につけている。
 幹部――いや、この場合は将軍と言うべきか――の人数は五人。
陸軍・海軍・諜報・医療の部隊と、特殊部隊のトップである。
 その中で、一人、紙を読み上げて説明していた。


「武器を所持していると言っても、我参加せずを表明しているロシアは省いてもいいでしょう。信用するに値するかはともかく、不穏な動きをすればアメリカもイギリスも黙ってはいません。
問題は、何の声明も出していないイランと北朝鮮。
中でも活発な動きを見せている北朝鮮がまず狙うであろう標的は、アメリカはまだ手が出ないでしょうし、中国か日本と考えていいでしょう。さらに言及するなら、人口差を考慮して日本を狙う可能性がすこぶる高いと思われます。

以上のことから、北朝鮮を討つべきだと考えます。」





 戦前の報告と、戦する理由を述べていた。