日本各地に散らばる軍の拠点には、必ずトレーニングセンターがある。兵たちの武力向上と、意気を挙げるためのものだ。上を常に目指させ、また、それに応えるために。
 宝王子は、だいたいを東京にある日本軍総統司令部本館で過ごす。新川のように海上に行くでもなく、大山のように各国を渡ることもない。戦うのが仕事の部隊だからだ。
 トレーニングセンターに篭った宝王子は、暗天星華を使えるよう、必死に鍛練していた。しかし、何かコツでもあるのか、うんともすんとも言わない。
「だーっ!!何で反応ないんだよ!!」
 カランッ
 握っていた手から刀が落ち、乾いた金属音が響く。宝王子は力無くへたりこんでいた。
 しかし、いつまでもこうしていても、強くなれるはずがない。
(……そうだ)
 帝に聞こう。
 宝王子はそう思うと、すぐさま立ち上がる。
 帝は暗天星華を安置していた神社が生家だ。何かを知っているに違いない。
 帝がいるであろう執務室に向かって、宝王子は駆けて行った。