粉塵が撒き散らされる中、喧騒が響く。
鉛玉が飛び、矢が放たれ、剣戟が振り回される。
 宝王子はそんな中に身を置いていた。
騎乗しながら叫び声を上げ、日本刀を振り上げる。
その隣では柳と泉が短刀で応戦していた。
 今のところ、五分と言ったところであろうか。
しかし、未だシーザーとアルベルトの姿が確認されていない。
いつでも戦況は変わりうる状況である。
 そんな状態で、初日は日が暮れた。
 一時撤退して急遽建てた本陣に将軍たちが集まる。
今頃兵たちは各々で怪我の手当や武器の調整、身体の休息などをとっていることだろう。
「シーザー、アルベルトともに本陣待機だったようです」
「様子見か…」
 聖徳の呟きに、恐らくと大山は頷く。
目的が戦力をはかることならば、分からなくもない。
戦闘だけが能の馬鹿ではない、と判断できた。
「…致し方あるまい。聖徳、あれを」
「解りました」
 報告を受けていた帝は、息をつくと聖徳に命ずる。
聖徳はすぐさま理解し、一旦室を出た。
 とはいえそれも僅かなことで、すぐに聖徳は室に戻って来た。
手には高級そうな桐箱がある。