「もし奥の部屋に行ってしまったら、街の通りも見えなくなってしまいますよ。そうなってしまえば、僕のことを、誰も見てくれなくなるのではないですか」 彼の語気は強まった。 ここまで話して、私はようやく、彼にとって大切なものを介間見たような気がした。