おれの目の前でも爆発が起きる。



閃光に目がくらむ。



手が触れるとヌメヌメとするこの感触、何かの生々しい塊、目が開かなくとも自分の肌を通して伝わる現実…

…逃げる…逃げる?
…どこに?…どうやって?


爆発は至る所で続いている。


…とにかく落ち着け、落ち着け、現状を把握しないと…
なんでここにいるのか?…
何でここまで来たのか?

誰とここに来たのか?…



…落ち着け、落ち着け…



ギュッと誰かがおれの手を握った。

「助けて!!」


おれは我に返った。

「ユイ!」

そうだ、おれはユイと渋谷に来ていたんだ。

今、おれのやることはユイを連れてこの地獄から逃げることだ。


「ユイ、逃げるぞ!とにかく走るんだ。あと絶対におれの手を離すな!」



爆発は収まる気配はない。
遠くの方からは火柱があがり、辺りは黒い煙が立ち込めている。
人間は将棋倒しになり、人が人の上を逃げている。
足元は血の海となり、人間だったものが辺り一面、折り重なるように散らばっている。


「ユイ、目を開けるなよ!」


おれはユイを守る!その一心だけで、無我夢中で逃げた…