ううん。
正しく言えば違和感があるのは手じゃなくて指で。
「もう目を開けていい」
そう言われ瞼を上げる。
下ろしていたのは短時間だったけどリビングの電気がやけに明るく感じた。
そして――
「どうする。外したいか?」
違和感が何か確かめるように左手に視線を向けると、ゆらゆらと私の視界が揺れ出した。
「ないです…。外したくないですよぉおお」
お風呂に入る時だって外したくない。
サウナはもう入れなくなってもいい。
「今日の優子は泣いてばかりだな」
フッと笑いながら拓斗さんは私の頭を優しくポンポンと叩く。
「遅くなってすまない」