拓斗さんはなんて器の大きい人なんだろう、と思いながら左手を差し出し瞼をギュッと瞑りボーッと待った。
どれくらいこうしていればいいのかな?
掌を上に向けてた私の左手を拓斗さんは掴みクルッと回した。
「優子」
「はい?」
「一つ伝え忘れた事がある」
伝え忘れ…?
「これを外す事は許さない。それだけは守ってほしい」
「えっ」
「分かったな?」
それってどういう意味…
拓斗さんが言った事ってどういう事なの?
「よく分からないですけど…。それで拓斗さんが許してくれるなら」
私は外しませんよ?と言おうと口を開こうとした時、左手に今までに感じた事のない何か違和感を覚えた。