「あと、その」
「まだ何かあるのか?」
「えっと…」
拓斗さんに言っていいかな?
今日だけは特別って事で許してもらえないかな。
「拓斗さん、行ってらっしゃい」
朝ごはんにお弁当、そしてこれまたあの日から拓斗さんに言えなかった‘行ってらっしゃい’を。
「行ってくる」
返事をしてくれた拓斗さんはすぐに私に背中を見せていた。
そんな拓斗さんの後ろ姿から見えるのは、片手はいつも通り鞄を持ち、そしてもう片手にはお弁当箱の入った袋を持ってる姿。
そんな拓斗さんの姿が嬉しくて嬉しくて――
「行ってらっしゃい!お仕事頑張って下さい!!」
私は二度目の行ってらっしゃいを言った。