それからお互い黙々と食べ続けお皿はもうすっからかんになった時、拓斗さんはゆっくり椅子から立ち上がり廊下へと行ってしまった。
もしかして今から出勤の支度でもするのかな？
「あ、お弁当渡さなきゃ」
キッチンに置いたままだったお弁当。
今日は前に使ったタッパではなくちゃんとしたお弁当箱を使ったから、これなら安心して拓斗さんに渡す事が出来る。
「拓斗さんの事、玄関で待ってればいいっか」
もうリビングには来る事はないだろうし支度したらそのまま出勤だと思う。
これはお見送りじゃないから大丈夫だよね？
今から私が玄関に向かうのはこれを、このお弁当を渡す為であって、けしてお見送りのためじゃないから拓斗さんに何か言われたりしないよね。
