質問するより先に、その者がいきなり忠告してきた。
「ゲッゲッゲッ。龍の力に手を出すな」
当然先程まで竜騎を襲っていた男は気に入らないように口を尖らせ、標的を変えて荒々しく言い放った。
「んだテメェは! 横からシャシャリ出て来やがって! 殺されてえのか!?」
相手はフードを頭から覆い、少し離れている事もあり竜騎から顔は完全に見えない。
見えなくとも、雰囲気で今まで出会って来た霊達と気配は違うので、知り合いや仲間で無い事には気付いている。
「ゲッゲッゲッ……」
ゆっくりと……
まるで映画のスローモーションのように足を前に出し、静かに音もなく近付いてくる。
そんな風に見えたのは、その者の存在全てが何故か否定的に見え、『本当にそこに居るのか?』と言う、人間が霊に対するような不気味な感覚をもたらしたからである。
「う……うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
それを男も感じてか分からないが、勢い任せで恐怖を拭うように相手に突っ込んで行った……
…………