一応は警戒し、攻撃の手を緩めてみた。









「ガキ。貴様の能力か? 何だこの煙は」









特殊能力と言うより、妖気に近い感じがする。









男は煙と言ったが『何か嫌な予感がする』と言った比喩的表現が正しい。









絶大な力が漂って居るのだ。










しかし、驚いていたのは、寧ろ竜騎の方である。









それもそのはず、自分自身が特殊能力を念じたワケでもなく、力を解放したのでもなく、四獣霊としての直感で何か嫌な予感を肌で感じていた。










一体これは……










その煙に混じり、脳に直接伝わるような声が、そびえ立つビルとビルの間を反響し辺りに響いた。









『ゲッゲッゲッ……』









誰か別な者が居る……









即座に理解した男は、周りに気を配り大声を上げた。










「誰だ!! 姿を見せろ野郎!!」









すると、その注文をあっさり聞き入れるかのように、後方からフードを被った者が姿を現した