「早く頂戴! ダイヤ頂戴!」








礼子が早速催促するように、オッサンの袖を駄々っ子のように引っ張る。









「待ってなさい。全てが解決したら、四獣霊で一番金持ちの亀咲さんが払ってあげるから」










「何でアタシが……!?」










当然竜騎の報酬の五倍払うという約束も、その場で思い付いた口から出任せなので、亀咲は否定するように首を振った。










そこへオッサンが近付き、耳元で静かに囁いた。










「アナタの守護する亀は、金の象徴イメージでしょう。ここで払わないと言えば、この殺人マシーンは怒り狂って私も含めここにいる全員を八つ裂きにしますぞ?」









遂にオッサンは、四獣霊相手にも脅しをかけられるようになった!









普段から礼子を相手にしていれば、こうなるのも当たり前の事だろうか?










気弱万年平社員のオッサンも、日々成長しているようだ。











「ぐ……分かった。分かったよ。物事解決すりゃあ、いくらでも払ってやるよ。それでそこのアンタ、あのチビは?」










亀咲は面倒くさそうにオッサンを払いのけ、礼子に竜騎の居場所を尋ねた。










「え? あれ?」









礼子は後ろを振り向いたり、辺りをキョロキョロと見回した。









先程まで一緒に居たのに、亀咲との戦いに気を取られ、いつの間にか姿を消していた。











「う~ん、分かんね。さっきまで別の霊と一緒に居たんだけど……」










そのどちらもいないとなると、あの霊が安全な場所に連れて行ったのかもしれない