流石は戦闘のプロである彼女。
悪口を言われた事など微塵も気にしないよう平常心を取り戻し、何とか隙を窺っている。
こと戦闘の関しての経験は亀咲のが上であり、勘で動くことしかしない礼子とは違い、作戦立てて動く事が可能である。
「さてと……どうしたもんかね……」
ここで分かる事は、本当の殺し合いを望んでいるわけではないと言う事。
なるべくなら自分自身怪我をしないような亀咲の戦い方や、相手を浄化させる力を使っていない事から、その様子が理解できる。
もし始めからそうならば、問答無用で衝撃波や特殊能力を使用してくるであろう。
そんな様子見で次の手を考えている時間は意外にも長引き、先に動いたのは礼子でも亀咲でも獅死雄でもなく別の人物であった。
「お困りのようですね。皆さん」
聞き慣れた声。
亀咲と獅死雄の間を悠々と通り抜け、唐突に前へ出てきた者がいた。
「あ……!」
礼子は我に返ったかのように、声を上げる。
その目の前に現れたのが、礼子の下僕担当者・オッサンであったからだ