その狙い通り、礼子は初っ端から劣勢気味であった。
「ギギ……な、何よ……ち、力が入らない……」
徐々に後方に押し出されるその姿は、以前の彼女の姿を微塵も連想させない。
いつも余裕で切り返していた礼子なだけに、今の礼子は情けないと言うくらいに目に映るだろう。
「フフ……それでも、これだけの力も持ち合わせてるとは天晴れね。普通の雑魚霊なら、2秒で相手が吹き飛ぶのに。でも残念。やっぱり強さも美しいさも私が勝っているようね、この『ブス』」
言ってやった。
いつも自分が言われていた屈辱な言葉を、ここぞとばかりに吐き出した。
もう、何も恐れる事はない!
(………?)
亀咲の体がピタリと止まる。
力を押し出すのを止めた訳ではない。
(う、動かない……?)
ハッとして礼子の顔を見ると、綺麗に青筋を浮かび上がらしていらっしゃる。
「誰が……」
礼子はボソリと呟くと、勢い良く声を上げ直した。
「誰がブスよ―――!!!!! このシナチク野郎―――――!!!!!!!!」
バァン!!!
亀咲は礼子の発した霊力の壁により、強く弾き飛ばされた